京都アニメーション「Kanon」のサウンドやSE面について

知っている人は知っていると思いますが、今、京都アニメーションというアニメ製作会社が、Kanonというアニメを毎週放送しています。
その京都アニメーションという会社は、非常に細かい仕事をしっかりこなしてクオリティを上げている会社でして、その手の込み具合には「京アニクオリティ」と名が付けられる事からも窺い知ることが出来ます。

そして実は、「涼宮ハルヒの憂鬱」の時点で、気付いてはいたのですが、改めてよく見直してみると、ある事が非常に気になるのです。

勿論、アニメですから、絵に関しての感想は頻繁にあがります。が、サウンドスタッフも非常に素晴らしい貢献をしているにも関わらず、あまり評価されていないように感じます。なので、賞賛の意も込めてこのエントリを。

具体的には、どう凄いか。
特筆すべきは空間の再現性です。
音というものは、空気の振動ですが、物体に当たることでその振動は反射します。
そして、その、当たった物体の材質により、反射音はかなり変化します。

正直な所、音楽をやっていると、疑似的に空間に広がりを持たせる効果を掛けたりすることが出来るものの存在を知っているのですが、それはあくまでも疑似的であり、実際の反射音には様々な成分が複雑に絡み合って含まれている為、単体でしっかりと聴くとリアルではないのですね。

しかし、京アニクオリティの恐ろしい所は、その空間音が完璧に再現されているところです。
例えそれが、ものの10秒にも満たないような短いカットであっても。

まず部屋の中。
エアコンがあり、加湿器があり、それらアップに映し、始まる。
主人公が部屋の中で起床する。
窓辺に立ち、カメラは屋外から。主人公が窓から外を眺めるシーン。

とりあえずココだけに絞ってみても、キチガイです。異常です。
エアコンがアップで映るシーンとその直後に加湿器アップで映るシーンは、両方合わせても四秒弱。

ですが、エアコンアップのカットでは、エアコンの空調音。
加湿器アップのカットでは、加湿器の動作音。
そして、ベッドで寝ている主人公が映るカットになりますが、ここではちゃんと、フローリングの部屋内で、その二つの動作音が混ざり合って反射しているノイズに切り替わっています。

正直、このクオリティは、実際に同じような部屋で音を鳴らして拾わない限り、再現できません。
(実際の所は、恐らく仮想的なリバーブ系エフェクトかもしれませんが、リアルに感じさせる使い方 というのが上手いのでしょうか)
普通はこんなの、一種類のノイズをうっすらと流しっぱなしにして仕事完了ですよ。

更には、最後の窓辺のシーンですが、これも、カメラが窓の外にあるカットだからか、上記の、部屋の中で鳴っていたノイズとは全く別の、屋外特有のノイズに切り替わります。

ノイズ専門のスタッフでもいるのかと思う程に、空間への拘りが感じられます。

もう一つは、効果音。いわゆるSEです。
キャラが一挙一動する毎に、必ずと言っていいほど、布製品がゴソゴソと擦れる音が入っています。
これもまた、一種類どころじゃありません。スリッパで廊下を歩く音と、裸足で廊下を歩く音は違います。それも再現されています。異常です。

靴を履くシーンでも、靴の中で指をゴソゴソと動かす音まで入っていますね。
自然すぎて当たり前のように観ていましたが、京都アニメーション作品は、是非、ヘッドホンを着用の上、音にも注意しながら観てみる事をお薦めします。

っつか、まじGJ!カッコよすぎるぜ京アニ

加筆 :この場合、オープニングのスタッフロールから

音響監督 : 鶴岡陽太

エンディングのスタッフロールからすると、

音響効果 : 森川永子
録音 : 名倉 靖
録音助手 : 亀本美佳
音響製作担当 : 杉山好美
録音スタジオ : スタジオごんぐ
音響制作 : 楽音舎

となっているので、音響効果、音響制作担当、音響制作というものに当たり、録音、録音助手、録音スタジオ、というものは主に音声周りのスタッフさんになるのでしょうか?