一面、灰色で汚染されたような空。
そんな空から落ちてくる雪。

音が、普段の日常の喧騒が聞こえない。
雪は音を吸収し、熱に変換するらしい。
ということは、
雪、自らは融けたがっていると言う事なのだろうか。
…否、葛藤の間で必死に抵抗している感じがする。

ありとあらゆる熱の発生原因が無ければ、雪は雪のままで居られる。
けど、そのどれもが無ければ雪が生まれる事自体が危うくなる。

「自然」から生まれ「自然」に殺される?

暫く見ない間に美化していたのだろうか。
ゆったりと降るイメージとは掛け離れ、まるでTVの砂嵐のような光景。
風に撒かれ、空の遠い遠い所を眺めると、まるで現実感の無い世界。

慌しげに。

そんな雪。

聴覚では時間を静止させてくれていながら、視覚では慌しく存在を主張する雪は、
一体、何を想っているのだろう。